DEA / ドメイン4 データセキュリティとガバナンス
データガバナンスとデータ共有のパターン
組織が大きくなると、データを作る部署と使う部署が分かれ、アカウントも分かれます。どこにどんなデータがあり、誰が責任を持ち、誰がどう使ってよいかを決めて守る仕組みがデータです。 DEA では、ガバナンスのフレームワーク (中央集権型、分散型の) と、データを共有するパターン (、 の共有、、 Catalog) を選び分けることが問われます。
Point
- データメッシュ (data mesh) は、データをドメイン (業務領域) ごとのチームが「プロダクト」として持ち、共通の基盤とルールで共有する考え方です。
- データスチュワード (data steward) は、データの品質や使い方のルールを日々管理する担当者です。
- リネージ (lineage) は「系統」で、データがどこから来てどう加工されたかの記録です。
- 和訳
- Governance: 統治、管理
- Steward: 管理人、世話役
- Weblio英和辞書「steward」
概要
データは、ツールだけでなく「誰が決め、誰が守るか」の仕組みです。AWS のサービスは、その決まりを技術的に実行する役を担います。
| 要素 | 決めること | AWS での主な手段 |
|---|---|---|
| 所有と責任 | データセットの所有者、承認者 | Catalog のプロジェクトと所有者 |
| カタログ | どこに何があるか、技術的なスキーマ | Data Catalog |
| ビジネスの意味 | 用語、説明、分類 | SageMaker Catalog の用語集とメタデータ |
| アクセスの方針 | 誰が何を見られるか | 、、 の権限 |
| 機密データの分類 | の所在と保護 | 、、マスキング |
| 品質 | 正しさ、完全さ、鮮度 | |
| リネージ | 来歴と加工の履歴 | SageMaker Catalog のリネージ |
| 監査 | 誰がいつ何をしたか | 、 |
| ライフサイクル | 保持と削除 | のライフサイクル、保持の方針 |
主要技術
①ガバナンスの組織モデル ⚠️ 頻出
| モデル | 仕組み | 長所 | 短所 |
|---|---|---|---|
| 中央集権型 | 中央のデータチームが1つの・DWH にデータを集め、権限も一元管理します。 | 統制がしやすく、ルールがそろいます。 | 中央のチームがボトルネックになり、業務の知識が届きにくくなります。 |
| 分散型 () | 各ドメインが自分のアカウントでデータを持ち、データプロダクトとして公開します。 | ドメインの知識を生かせ、規模を広げやすいです。 | ルールがばらばらになりやすく、共通の基盤と統制が必要です。 |
| ハブアンドスポーク (連邦型) | ドメインがデータを持ち、中央のアカウントがカタログ・権限・監査の共通ルールを提供します。 | 分散の柔軟さと中央の統制を両立します。 | 中央と各ドメインの役割分担を決める必要があります。 |
データメッシュの4つの原則は、ドメインによる所有、プロダクトとしてのデータ、セルフサービスのデータ基盤、連邦型の計算されたガバナンスです。 AWS では、各ドメインのアカウントのデータを、中央のガバナンスアカウントの Data Catalog と で共有・管理する構成で実現します。
②データ共有のパターン ⚠️ 頻出
| パターン | 共有するもの | コピー | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| のデータベース・スキーマ・テーブル・ビュー | しない (最新のデータを読む) | Redshift 同士、アカウント・をまたぐ共有、 と の分離 | |
| の共有 | Data Catalog のデータベース・テーブル ( のデータ) | しない | のテーブルを列・行の権限付きで他アカウントへ共有 |
| S3 のポリシー・アクセスポイント | S3 のオブジェクト | しない | ファイル単位でよく、列や行の制御が要らない場合 |
| S3 の、・エクスポート | ファイルのコピー | する | 相手の環境にデータを置く必要がある、ネットワーク的に分離したい場合 |
| ファイル、、Redshift の datashare、S3 のデータへのアクセス、Lake Formation のデータ (プレビュー) | 種類による | 社外の組織とデータを授受する、 で有償で提供・購読する | |
| Catalog の購読 | カタログに公開したデータ資産 | しない (権限を付与) | 社内の利用者がカタログで探し、承認を経て使う |
コピーすると、鮮度のずれ、保管の費用、削除要求への対応漏れ、所在の管理の難しさが増えます。要件が許す限り、コピーしない共有 (データ共有、Lake Formation の共有) を優先します。
③AWS Data Exchange
は、組織の間でデータの利用権 (データグラント) を授受するサービスです。 のデータ製品として有償で提供・購読することもできます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| データグラント | 送り手が、受け手の AWS アカウントとアクセス期間を指定してデータセットへの利用権を渡します。受け手が承諾すると使えます。 |
| データセットの種類 | ファイル、、、 (提供者ののデータを直接使う)、 (プレビュー) |
| Redshift のデータセット | 購読者は、 をせずに提供者の Redshift のデータを直接クエリできます。 |
| オープンデータ | Open Data on AWS の公開データセットを探して使えます。 |
社内の部署間の共有なら や Lake Formation、社外の取引先との授受や販売なら Data Exchange、と分けて考えます。
④SageMaker Catalog と Lake Formation・Glue Data Catalog の役割分担
| サービス | 役割 |
|---|---|
| Data Catalog | 技術的なメタデータ (テーブルの定義、 の場所、パーティション) を持ちます。分析エンジンがここを読みます。 |
| Data Catalog のテーブルへの権限を実際に強制します (列・行・セル、)。 | |
| Catalog | 業務の利用者向けのカタログです (Amazon DataZone を基盤とし、SageMaker Unified Studio で使います)。データ資産の公開、検索、用語集、購読の申請と承認のワークフロー、リネージを担います。 |
SageMaker Catalog では、データを持つプロジェクトが資産をカタログに公開し、利用するプロジェクトが購読を申請します。公開したプロジェクトのメンバーが承認すると、Lake Formation が管理する Glue のテーブルや のテーブル・ビュー (マネージドな資産) には、利用側のプロジェクトのロールへ権限が自動で付与されます。 つまり、SageMaker Catalog は「誰に使わせるかを決める窓口」、Lake Formation や Redshift は「その決定を強制する仕組み」です。プロジェクトを通じたデータアクセスの管理の詳細は「Amazon SageMaker Catalog (ビジネスデータカタログと)」の章で扱います。
⑤共有パターンを選ぶ手順
試験対策
の問題では、組織の形 (中央集権か分散か) と、共有の相手 (社内か社外か)、データの置き場所 ( か か) を順に見ます。 「コピーせずに」「最新のデータを」という言葉があれば、データ共有か の共有が候補です。
①判断マトリクス
| 問題文のキーワード | 選ぶもの | 理由 |
|---|---|---|
| 各部署が自分のデータを持ち、共通のルールで共有したい | (ハブアンドスポーク) + | ドメインの所有と中央の統制を両立します。 |
| 中央のチームが統制を一元的に担いたい | 中央集権型の | ルールをそろえやすいです。 |
| 別アカウントの から最新のデータをコピーなしで | ライブのデータを読めます。 | |
| 中央のデータレイクのテーブルを列の制限付きで他アカウントへ | Lake Formation の共有 | 列・行の権限を付けられます。 |
| 取引先にデータを有償で提供したい | 購読と課金の仕組みがあります。 | |
| 外部の第三者データを購読して Redshift で直接使いたい | Data Exchange の Redshift のデータセット | なしでクエリできます。 |
| 利用者がカタログで探し、所有者の承認を経て使わせたい | Catalog の公開と購読 | 承認後に権限が自動で付与されます。 |
| ビジネス用語でデータを説明・検索させたい | SageMaker Catalog の用語集とメタデータ | 業務の利用者向けのカタログです。 |
| 権限を実際に列・行の単位で強制したい | Lake Formation | カタログの決定を強制する層です。 |
②よくある誤答
- 共有のたびにデータをコピーすること。鮮度、費用、削除の漏れの原因になります。
- Catalog だけで列・行の権限を強制できると考えること。強制は や が担います。
- を「統制をなくすこと」と考えること。連邦型のが原則に含まれます。
- 社内の部署間の共有に を第一に選ぶこと。社内なら や Lake Formation が直接的です。
参考文献
- What is AWS Data Exchange?
- Data sharing in Amazon Redshift
- Cross-account data sharing in Lake Formation
- What is Amazon SageMaker Unified Studio?
- Request subscription to assets in Amazon SageMaker Unified Studio
- Design a data mesh architecture using AWS Lake Formation and AWS Glue
- AWS Certified Data Engineer - Associate 試験ガイド