DEA / ドメイン4 データセキュリティとガバナンス
データ主権とリージョンの制御
個人データや規制の対象のデータには、「この国 () の外に置いてはいけない」という要件が付くことがあります。データ基盤では、本番のデータだけでなく、バックアップ、レプリカ、ログ、一時ファイルもその範囲に入ります。 DEA では、許可されていないリージョンへのバックアップやを防ぐ仕組み (、 の) と、データの所在を保つ設計が問われます。
Point
- データ主権 (data sovereignty) は、データが保存されている国の法律に従うという考え方です。
- データレジデンシー (data residency) は、データを特定の地域・国の中に保存するという要件です。
- SCP = Service Control Policy の略で、AWS Organizations で OU やアカウントに付ける、権限の上限を決めるポリシーです。
- 和訳
- Sovereignty: 主権
- Residency: 居住、所在
- Weblio英和辞書「sovereignty」
概要
AWS では、利用者が選んだにデータが保存され、利用者が明示的に複製しない限り他のリージョンへは移りません。 そのため、データ主権の対策は「許可されていないリージョンでリソースを作らせない」「リージョンをまたぐ複製の設定をさせない」「守られていることを継続的に確かめる」の3つになります。
| 見るポイント | 代表的な判断 |
|---|---|
| アカウント・組織の全体で止めたいか | や のリージョン拒否のコントロールを使います。 |
| 特定の操作 (リージョンをまたぐ複製) だけを止めたいか | その操作の を SCP で拒否します。 |
| すでにあるリソースの違反を見つけたいか | のルールで評価します。 |
主要技術
①SCP によるリージョンの制限 ⚠️ 頻出
aws:RequestedRegion 条件キーは、 リクエストの宛先のを表します。許可するリージョン以外へのリクエストを拒否する を に付けると、その OU のすべてのアカウントで、 の権限に関係なく他のリージョンにリソースを作れなくなります。
{
"Effect": "Deny",
"NotAction": ["iam:*", "organizations:*", "sts:*", "cloudfront:*", "route53:*", "support:*"],
"Resource": "*",
"Condition": {
"StringNotEquals": {"aws:RequestedRegion": ["ap-northeast-1", "ap-northeast-3"]}
}
}
| 押さえること | 内容 |
|---|---|
| グローバルなサービスの除外 | IAM、、、 などは米国東部 (バージニア北部) のを使うため、NotAction で除外しないと使えなくなります。 |
| 管理用のロールの除外 | 例外が必要な管理ロールは、aws:PrincipalArn の条件で除外します。 |
| SCP の効き方 | SCP は権限を与えず、上限を決めるだけです。管理アカウントには効きません。 |
②AWS Control Tower のリージョン拒否のコントロール
は、複数アカウントの環境 (ランディングゾーン) に (コントロール) を一括で適用するサービスです。
| コントロール | 範囲 | 内容 |
|---|---|---|
| ランディングゾーンの拒否 | ランディングゾーン全体 | 管理対象のリージョン以外へのアクセスを拒否します。 ごとには設定できません。 |
| OU に適用するリージョン拒否 | 指定した OU | 特定の OU だけ、許可するリージョンを絞ります。 |
いずれも内部では で実装されます。ホームリージョンは拒否できず、 や などのグローバルなサービスは除外されます。 有効にする前に、拒否するリージョンに既存のリソースがないことを確かめます (有効にするとアクセスできなくなります)。
| コントロールの種類 | 例 |
|---|---|
| 予防 (preventive) | SCP でリージョンや操作を拒否します。 |
| 検出 (detective) | のルールで違反を検出します。 |
| 事前 (proactive) | のフックで、作成前に設定を検査します。 |
③バックアップ・レプリケーションの複製先を制御する ⚠️ 頻出
をまたいでデータが複製される機能は多くあります。どれも要件に反するリージョンへ向けないことが必要です。
| 機能 | リージョンをまたぐ複製 | 防ぎ方の例 |
|---|---|---|
| クロスリージョン (CRR) | 許可リージョン外に宛先のを作らせない 。レプリケーションの設定の操作を限定します。 | |
| 別リージョンのバックアップボールトへのコピー | 許可リージョン外にボールトを作らせない SCP。バックアッププランのコピー先を許可リージョンにします。 | |
| の別リージョンへの自動コピー | スナップショットのコピーを有効にする操作を SCP で拒否します。 | |
| ・ | リージョンをまたぐ、Aurora グローバルデータベース | 複製の作成先を許可リージョンに限定します。 |
| レプリカのリージョンを許可リージョンに限定します。 | ||
| キー | レプリカのキーを許可リージョン外に作らせません。 | |
| シークレットのレプリカ | レプリカのリージョンを限定します。 |
Redshift のスナップショットのコピーを有効にする操作 (EnableSnapshotCopy) は、コピー先のリージョンを引数に渡して、複製元のリージョンのに対して呼びます。aws:RequestedRegion は複製元のリージョンになるため、リージョンを拒否する SCP だけでは止まりません。この操作そのものを SCP で拒否します。
予防だけでは漏れがありうるため、 のルールで S3 のレプリケーションの設定やバックアッププランを評価し、 で複製の設定の操作を監視します。
④データの所在を保つ設計
| 観点 | 設計の例 |
|---|---|
| 処理の場所 | ジョブ、、 を、データと同じ許可で動かします。別リージョンのサービスへデータを送って処理させません。 |
| 災害対策 | 許可される範囲内の2つのリージョン (例: 東京と大阪) の間で複製します。 |
| のキーをデータと同じリージョンに置きます。 | |
| ログと一時データ | のログ、 のクエリ結果、Glue の一時ディレクトリも許可リージョンのに置きます。 |
| 外部への提供 | 共有 (、 の共有) の相手のリージョンも要件の範囲か確かめます。 |
| データの棚卸し | で の所在を、Glue Data Catalog でデータセットの所在をつかみます。 |
試験対策
データ主権の問題では、「組織全体で予防する」なら ・、「違反を見つける」なら 、「誰が設定したか」なら 、と役割を分けます。 ポリシーだけで制限する選択肢は、管理者が自分で外せるため、組織の統制としては弱い答えです。
①判断マトリクス
| 問題文のキーワード | 選ぶもの | 理由 |
|---|---|---|
| 全アカウントで許可以外の利用を禁止 | aws:RequestedRegion で拒否する | アカウントの管理者でも外せません。 |
| の環境でリージョンを制限 | リージョン拒否のコントロール | ランディングゾーン全体または に適用します。 |
| バックアップが許可外のリージョンへコピーされるのを防ぐ | 許可外のリージョンでのボールト作成を SCP で拒否 + プランの見直し | コピー先を作れなくします。 |
| のを別リージョンへ送らせない | スナップショットのコピーを有効にする操作を SCP で拒否 | 複製の設定自体を止めます。 |
| 許可外のリージョンへのの設定を検出 | のルール | 継続的に評価します。 |
| は必要だが国外に出せない | 国内の2つのリージョンの間で複製 | 所在の要件と可用性を両立します。 |
| SCP を付けたら や が使えなくなった | グローバルなサービスを NotAction で除外 | 米国東部のを使うためです。 |
②よくある誤答
- が権限を与えると考えること。SCP は上限を決めるだけで、許可は ポリシーで与えます。
- SCP で管理アカウントも制限できると考えること。管理アカウントには効きません。
- で違反の操作を事前に止められると考えること。Config は検出と修復で、予防は SCP です。
- バックアップやログ、一時ファイルの所在を忘れること。
参考文献
- Service control policies (SCPs)
- Example SCP: Deny access to AWS based on the requested AWS Region
- Configure the Region deny control (AWS Control Tower)
- AWS global condition context keys (aws:RequestedRegion)
- Creating backup copies across AWS Regions (AWS Backup)
- Data residency (AWS Whitepaper: Navigating GDPR Compliance on AWS)
- AWS Certified Data Engineer - Associate 試験ガイド