AIF / ドメイン1 AIとMLの基礎

重要な内容

AI・機械学習・深層学習の基礎

(AI) の学習を始めると、AI、 (ML)、という似た言葉が並んで出てきます。 この章では、それぞれが何を指し、どういう入れ子の関係になっているかを整理します。

AIF-C01では、用語の正確な定義そのものよりも、「この説明はAIか、機械学習か、深層学習か」「学習とのどちらの話か」を言い分けられることが問われます。

Point
  • AI = Artificial Intelligence(人工知能) の略です。
  • ML = Machine Learning(機械学習) の略です。
  • DL = Deep Learning(深層学習) の略です。
  • 和訳

概要

AIは、人間が行う認識・判断・生成といった知的な作業をコンピューターで行わせる技術の総称です。 そのAIを実現する代表的な方法がで、機械学習の中でも脳の神経回路をまねた構造を深く重ねたものがです。

3つは並列の選択肢ではなく、AI ⊃ 機械学習 ⊃ 深層学習という包含関係になっています。

AIには、人間の専門家が書いた「もし〜なら〜」という規則で判断する規則ベースのシステム (エキスパートシステムなど) も含まれます。 データから規則を学ぶ仕組みを持たないものはAIですが、機械学習には当たりません。

概要の図 AI (人工知能)知的な作業をコンピューターで行う技術の総称 機械学習 (ML)データから規則性を学ばせる方法 深層学習 (DL)ニューラルネットワークを深く重ねた方法 生成AI基盤モデルが新しい内容を作り出す

機械学習の考え方は、従来のプログラミングと逆になっています。 従来は人間が規則をコードで書きましたが、機械学習では大量のデータと答えを与えて、規則そのものをコンピューターに見つけさせます。

進め方人間が用意するものコンピューターが出すもの
従来のプログラミング規則 (if文などのロジック) とデータ結果
機械学習データと、そこから期待される結果規則 (モデル)

試験では、「明確な規則が書けない曖昧な判断をデータから任せたい」場面が機械学習、「規則が明確で例外もない処理」は通常のプログラムで足りる、という切り分けを判断します。


主要技術

①モデルとアルゴリズム

の中心にあるのがモデルです。 モデルは、入力を受け取って出力を返す学習済みの関数のことで、学習の成果がここに詰まっています。

用語意味試験での判断ポイント
アルゴリズム学習の手順そのもの。線形、決定木、などの種類を指します。「どうやって学ばせるか」の話ならアルゴリズムです。
モデル学習の結果として得られた、予測を返す実体です。「デプロイする」「バージョン管理する」対象はモデルです。
パラメーター学習によってモデル内部で決まる値 (重みなど) です。学習で自動的に決まる値です。
学習の前に人間が決める設定値 (学習率、エポック数など) です。「調整 (チューニング) する」対象はハイパーパラメーターです。
Point
  • パラメーターは学習でモデルが決める値、ハイパーパラメーターは学習前に人間が決める値です。
  • hyper- は「上位の、超える」 という接頭辞で、パラメーターの上位にある設定という意味になります。
  • 和訳

②学習 (トレーニング) と推論 (インファレンス) ⚠️ 頻出

には、モデルを作る段階と、できたモデルを使う段階の2つがあります。 この2つはコストの性質も必要な計算資源も違うため、試験で頻繁に問われます。

②学習 (トレーニング) と推論 (インファレンス) ⚠️ 頻出の図 学習データ 学習Training モデル 推論Inference 新しい入力データ 予測結果
観点学習 (Training) (Inference)
目的データから規則性を学び、モデルを作ります。できたモデルに新しい入力を与え、結果を得ます。
実行の頻度断続的です。まとめて実行します。継続的です。リクエストごとに実行します。
必要な計算資源大きな計算資源を短期間に使います。1回は小さいですが、回数が積み上がります。
判断ポイント「モデルを作る・作り直す」ならこちらです。「モデルを呼び出して使う」ならこちらです。

⚠️ 頻出: 「アプリケーションからモデルを呼び出して予測を得る」処理は推論です。学習をやり直しているわけではありません。

Point
  • Inference = 推論 です。infer は「推測する、導き出す」 という動詞です。
  • 学習 = 規則を作る、推論 = 規則を当てはめる と覚えます。
  • 和訳

③ニューラルネットワークと深層学習

は、入力層・中間層 (隠れ層)・出力層を持つ計算構造で、脳の神経細胞のつながりを参考にしています。 この中間層を何層も深く重ねた構造で学習する方法がです。

深層学習は、画像や音声、自然言語のような「人間が特徴を言葉で説明しにくいデータ」に強いという特徴があります。 一方で、大量のデータと大きな計算資源を必要とし、判断の理由が人間には見えにくくなります。

観点従来の深層学習
得意なデータ表形式など、特徴が整理されたデータ画像、音声、テキストなど
の設計人間が特徴を設計します () 。モデルがデータから特徴を自動的に学びます。
必要なデータ量比較的少なくても学習できます。大量のデータが必要です。
説明のしやすさ比較的説明しやすいです。判断根拠が見えにくくなります。

④コンピュータービジョンと自然言語処理

が広く使われている代表的な分野が、とです。 AWSではどちらもとして提供されているため、分野名とサービス名を結び付けて覚えます。

分野扱う対象代表的なタスク代表的なAWSサービス
コンピュータービジョン (CV)画像・動画、顔認識、画像分類
自然言語処理 (NLP)テキスト感情分析、エンティティ抽出、要約
音声認識音声文字起こし
音声合成テキスト読み上げ音声の生成
Point
  • CV = Computer Vision(コンピュータービジョン)、コンピューターに「見る」ことをさせる分野です。
  • NLP = Natural Language Processing(自然言語処理)、人間の言葉を扱う分野です。
  • 和訳

⑤大規模言語モデルと生成AI

(LLM) は、膨大なテキストで学習した非常に大きなで、次に来る言葉を予測する形で文章を扱います。 このような大規模で汎用的なモデルをと呼び、基盤モデルを使って文章・画像・音声などを新しく作り出す使い方がです。

従来のは「与えられた入力を分類する・数値を予測する」ことが中心でしたが、生成AIは「内容そのものを作り出す」点が違います。

観点従来の機械学習生成AI
出力ラベル、数値、確率などの判定結果文章、画像、音声、コードなどの成果物
モデルの作り方目的ごとに専用のモデルを学習します。汎用の基盤モデルを、などで目的に合わせます。
準備の負荷の収集と学習が必要です。既存の基盤モデルをすぐ試せます。
Point
  • LLM = Large Language Model(大規模言語モデル) の略です。
  • FM = Foundation Model(基盤モデル) の略で、LLMはFMの一種です。
  • 「言語に限らない大規模な汎用モデル」がFM、「そのうち言語を扱うもの」がLLMという関係です。

⑥バイアスと公平性

は、モデルの予測が特定の集団や条件へ偏ることです。 が現実を偏って写している場合、モデルはその偏りをそのまま学びます。

は、その偏りによって特定の属性の人が不利な扱いを受けないようにする考え方です。 バイアスは、集団ごとの件数やラベルの割合、予測の差を指標として集計して検出します。AWSの Clarifyはこの機能でしたが、2026年7月30日に新規の利用者の受け付けを終えました。

⚠️ 頻出: バイアスの主な原因は「アルゴリズムの選び方」よりも「学習データの偏り」です。データの多様性とを確認することが対策の出発点になります。


⑦適合 (フィット) と過学習・未学習

適合 (フィット) は、モデルがにどれだけ合っているかを表します。 合いすぎても足りなくても、実際のデータに対する性能は落ちます。

状態説明現れ方
(アンダーフィッティング)モデルが単純すぎて、規則性を捉えられていません。学習データでも精度が低いままです。
適切な適合学習データと未知のデータの両方で性能が出ます。目指す状態です。
(オーバーフィッティング)学習データを覚えすぎて、未知のデータへ対応できません。学習データでは高精度、では低精度になります。

⚠️ 頻出: 「学習データの精度は高いのに本番で当たらない」という記述は過学習のサインです。データを増やす、モデルを単純にする、するなどが対策になります。


試験対策

①用語の対応表

問題文のキーワード対応する用語理由
人間の知的作業をコンピューターで行う技術全般AI最も広い総称です。
データから規則性を学ばせる規則を人間が書かずデータから得ます。
多層の、画像や音声に強い方法です。
学習済みモデルへ入力を渡して結果を得るモデルを使う側の処理です。
学習前に人間が決める学習率やエポック数学習で決まるパラメーターと区別します。
新しい文章や画像を作り出す判定ではなく生成が目的です。
では高精度、本番で低精度学習データに合わせすぎた状態です。
特定の属性へ予測が偏るの問題として扱います。

②よくある誤答

  • とAIを同じ意味で使うこと。深層学習はAIを実現する一手法にすぎません。
  • の遅さをの問題と考えること。推論性能は主にモデルの大きさと実行基盤の問題です。
  • をアルゴリズムだけの問題と考えること。まずの偏りを疑います。
  • を従来のの言い換えと考えること。出力が「判定」か「生成物」かで区別します。

参考文献

  1. ※1出題比率: AWS 公式の試験ガイドに記載された、採点対象の設問のうちその分野が占める割合です。

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