AIF / ドメイン1 AIとMLの基礎
重要な内容
AIが向く課題と向かない課題
AIF-C01は「AIをどこで使い、どこで使わないか」を判断できることを求めます。 AIは万能ではなく、向かない課題に当てると、費用ばかりかかって精度が出ない結果になります。
概要
AIやが力を発揮するのは、規則を人間が言葉で書き切れないけれども、判断の例なら大量に集められる課題です。 逆に、規則が明確で例外もない処理は、通常のプログラムで書くほうが速く、安く、確実です。
機械学習の出力は確率的で、必ず誤りを含みます。 そのため、「1件の誤りも許されない計算」には向かず、会計処理や税額計算のような領域は通常のロジックで実装します。
主要技術
①AIが向く課題 ⚠️ 頻出
| 課題の性質 | 例 | 理由 |
|---|---|---|
| 規則が言葉にしにくい | 画像から不良品を見つける | 見た目の特徴を条件式で書けません。 |
| 判断の量が多すぎる | 数百万件の問い合わせ分類 | 人手では処理量に追いつきません。 |
| 個別化が必要 | 利用者ごとの商品 | 全員に同じ規則を当てても効果が出ません。 |
| 予測が価値になる | 需要予測、故障予知 | 過去の実績から傾向を学べます。 |
| 生成が必要 | 要約、下書き作成、コード生成 | 出力そのものを作る必要があります。 |
⚠️ 頻出: 「大量の」「パターンが複雑」「個別化」「予測」というキーワードはAI向きの合図です。
AIが生む価値は、次の3つの形に整理できます。
| 価値の形 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 人間の意思決定の支援 | 予測や判定の結果を示し、最終判断は人が行います。 | 与信担当者へ返済遅延の確率を示す、医師へ病変の疑いのある画像を示す |
| ソリューションの | 人員を増やさずに処理量の増加へ対応できます。 | 問い合わせが繁忙期に10倍になっても同じ仕組みで分類する |
| 自動化 | 人の作業そのものを置き換えます。 | 帳票の読み取りと入力、通話の文字起こし |
②AIが向かない課題 ⚠️ 頻出
| 課題の性質 | 例 | 代わりに使うもの |
|---|---|---|
| 規則が明確で例外がない | 消費税の計算、給与計算 | 通常のプログラム |
| 誤りが一切許されない | 会計仕訳の確定、法定計算 | 決定的なロジックと検証 |
| 説明責任が厳しく根拠が必須 | 規制上の判断根拠の提示 | 規則ベースまたは説明可能なモデル |
| データがない、または少なすぎる | 新規事業の初期 | まずデータ収集の仕組み |
| 費用対効果が合わない | 年間数件の判断の自動化 | 人手での運用 |
⚠️ 頻出: 「決まった計算式を適用するだけ」「常に同じ結果でなければならない」という要件では、は不適切な選択肢になります。
③従来の機械学習と基盤モデルの使い分け ⚠️ 頻出
AIを使うと決めた後も、従来の (目的ごとに学習させた予測や分類のモデル) と、 () のどちらが合うかを判断します。
| 判断の観点 | 従来の機械学習が向く場合 | 基盤モデルが向く場合 |
|---|---|---|
| 規制上の懸念 | 判断の根拠を示す義務が厳しい (与信、保険の引き受けなど) | 出力を人が確認してから使える |
| の寄与で理由を説明したい | 厳密な説明までは求められない | |
| 出力の種類 | 数値の予測、決まった分類 | 文章、要約、画像などの生成、自由な対話 |
| データ | 表形式の業務データがそろっている | 文章や画像などのが中心 |
| 運用上の制約 | 低い遅延と低い単価で大量に判定したい、結果の再現性が必要 | 多少の遅延と費用を許容でき、柔軟さを重視する |
⚠️ 頻出: 表形式のデータでの数値予測や分類、根拠の説明が必要な判定は、従来の機械学習が第一候補です。文章の生成や要約、自由な質問への応答は基盤モデルが向きます。
④費用と効果の見積もり
AIの導入判断では、精度だけでなく次の費用を合わせて見ます。
| 費用の種類 | 内容 |
|---|---|
| データの費用 | 収集、、保管の費用です。 |
| 開発の費用 | 実験、学習、評価にかかる人件費と計算費用です。 |
| の費用 | 本番で1件ごとに発生し、利用量に比例します。 |
| 運用の費用 | 監視、、モデル更新の費用です。 |
効果の側は、削減できた作業時間、増えた売上、下がった誤り率などの業務指標で測ります。 モデルの精度が上がっても業務指標が動かないなら、その改善には価値がありません。
⑤AWSのマネージドAIサービスから検討する
自分でモデルを作る前に、既製のサービスで足りるかを確認します。 AIF-C01では、この「作らずに使う」判断が繰り返し問われます。
| やりたいこと | 使うサービス |
|---|---|
| 文章の感情やエンティティを抽出する | |
| 音声を文字にする | |
| 文章を翻訳する | |
| 文章を読み上げる | |
| 画像や動画を解析する | |
| 帳票やPDFから項目を取り出す | |
| 会話型のボットを作る | |
| 機能を作る | |
| 画像の分類や表形式データの予測をコードなしで作る | Canvas |
| 社内文書を根拠に質問へ答える (ナレッジベース) | |
| 複数のシステムをまたぐ手順を自律的に進める () | |
| 不正検出のモデルを自社の取引データで作る | Amazon SageMaker AI |
| を使う | |
| 独自モデルを学習・運用する | Amazon SageMaker AI |
⑥責任ある利用の前提
AIを使うと決めた後も、次の点を設計に含めます。
- 誤りが業務へ与える影響の大きさを見積もり、影響が大きい判断には人間の確認を挟みます。
- や機密情報を入力してよいかを整理します。
- 出力をそのまま公開せず、確認の手順を決めます。
人間の確認を組み込む仕組みとして、AWSには (A2I) があります。 ただし、A2Iは新規の利用者を受け付けていないため、試験では製品名よりも「確度の低い結果を人が確かめる」という考え方を押さえます。
Point
- 以前この表にあったAmazon Kendra (社内文書の検索) とAmazon Fraud Detector (オンライン不正の検知) は、どちらも新規の利用者を受け付けておらず、現在のAIF-C01の対象サービスの一覧にもありません。
- 社内文書の検索と回答はBedrock Knowledge Bases、不正検出は分類や異常検知のモデルをSageMaker AIで作る、と読み替えます。
試験対策
①判断マトリクス
| 問題文のキーワード | 判断 | 理由 |
|---|---|---|
| 画像や音声から判定したい | AIが向きます。 | 規則を書けないです。 |
| 利用者ごとに違う提示をしたい | AIが向きます。 | 個別化はモデルの得意分野です。 |
| 決まった税率での金額計算 | AIは不要です。 | 規則が明確で誤りも許されません。 |
| 毎回まったく同じ結果が必要 | AIは不適切です。 | 出力は確率的で揺れます。 |
| 判定に使えるデータがまだない | AIの前にデータ収集です。 | 学習の材料がありません。 |
| 定番タスクを短期間で実現したい | マネージドAIサービスを選びます。 | 自作より速く安くなります。 |
| 独自データで専用モデルが必要 | を選びます。 | 学習と運用を自分で制御できます。 |
| 与信判定の根拠を規制当局へ説明したい | 従来のを選びます。 | の寄与で説明できます。 |
| 問い合わせへの回答文を自動で作りたい | を選びます。 | 文章の生成は基盤モデルの得意分野です。 |
②よくある誤答
- 「AIを使う」という選択肢を常に正解と考えること。規則が明確な処理では誤答になります。
- 定番タスクに対してでの自作を選ぶこと。マネージドAIサービスのほうが運用負荷とコストが低くなります。
- 精度の改善だけを効果と考えること。業務指標が動くかどうかで判断します。