AIF / ドメイン3 基盤モデルの応用
重要な内容
生成AIアプリケーションの評価
アプリケーションの評価では、モデル単体の出来だけでなく、検索 ()、エージェント、ワークフローを含めたアプリケーション全体が目的を果たしているかを確かめます。 AIF-C01では、RAGやエージェントの評価の方法と、業務目標と結び付いた指標が問われます。
概要
同じモデルでも、検索で渡す文書、ツールの選び方、手順の組み立てによって結果は大きく変わります。 そのため、モデルの評価に加えて、アプリケーションの部品ごとと全体の両方を評価します。
| 評価の対象 | 確かめること |
|---|---|
| モデル | 回答が正確で、役に立ち、安全か |
| 必要な文書を取り出せたか、回答が文書に基づいているか | |
| エージェント | 目標を達成したか、正しいツールを正しい引数で呼んだか |
| ワークフロー | 各段の結果がつながり、最後まで処理できたか |
| 業務 | 利用者と事業にとって価値があったか |
試験では、「どの部分の問題か」を切り分け、それに合う評価の方法と指標を選びます。
主要技術
①LLM-as-a-judge ⚠️ 頻出
の出力には唯一の正解がないため、別のを審査役 (ジャッジ) にして、決めた観点で採点させる方法が使われます。
| 観点 | 内容 |
|---|---|
| 利点 | より速く安く、大量の出力を同じ基準で採点できます。 |
| 採点の観点の例 | 正確さ、網羅性、有用性、根拠との一致、有害さ |
| 注意点 | 審査役のモデルにも偏りがあります。一部を人間が確かめて、採点の妥当性を確認します。 |
⚠️ 頻出: やは参照の文章との語句の重なりを測ります。意味の正しさや有用性を大量に採点したいなら、を使います。
Point
- LLM-as-a-judge は「審査役としてのLLM」という意味です。
- judge は「審査員、裁判官」です。
- 和訳
- judge: 審査員、判断する
- Weblio英和辞書「judge」
②RAGの評価 ⚠️ 頻出
の問題は、「検索で必要な文書を取れていない」のか「文書はあるのに回答が正しくない」のかで対策が変わります。 のRAGの評価では、2種類の評価を選べます。
| 評価の種類 | 対象 | 分かること |
|---|---|---|
| 検索のみ (retrieve only) | 取り出した文書 | 質問に関係する文書を、取りこぼしなく取り出せたか |
| 検索と生成 (retrieve and generate) | 取り出した文書と生成した回答 | 回答が正確で、文書に忠実で、質問に答えているか |
| 結果 | 疑う箇所 | 対策の例 |
|---|---|---|
| 関係する文書が取れていない | 検索 | の分け方、、、 |
| 文書はあるが回答が根拠と違う | 生成 | の指示、モデルの選択、根拠の確認 () |
だけでなく、外部で作ったRAGの結果を持ち込んで評価することもできます。
| 評価の種類 | 主な指標 |
|---|---|
| 検索のみ | 文脈の関連性 (取り出した文書が質問に関係するか)、文脈の網羅性 (正解の情報をどれだけ覆っているか。正解のデータが必要) |
| 検索と生成 | 正確さ、網羅性、有用性、忠実性 (取り出した文書にない内容を加えていないか)、引用の正確さと網羅性、有害性 |
のは、本番の回答をその場で検査して遮る機能です。 公開前に評価用のデータセットで構成を比べるのは、RAGの評価です。
③エージェントの評価
| 観点 | 内容 |
|---|---|
| 目標の達成 | 利用者の依頼を最後までやり遂げたか |
| ツールの選択 | 必要なツールを選び、不要なツールを呼ばなかったか |
| 引数の正しさ | ツールへ渡した値が正しかったか |
| 手順の効率 | 無駄な繰り返しがなく、少ない手順で終えたか |
| 安全性 | 権限外の操作や有害な出力がなかったか |
は、エージェントの実行の記録 (セッション、トレース) を、の手法を使って自動で採点します。 判断の過程を追跡して見せるのは Observability、品質を採点するのはEvaluationsです。
| 評価の単位 | 採点の例 |
|---|---|
| セッション (会話全体) | 利用者の目標を達成できたか |
| トレース (1回の応答) | 正確さ、有用性、忠実性、有害性 |
| ツールの呼び出し | ツールの選択と引数の正確さ |
| 評価の種類 | 使う場面 |
|---|---|
| オンライン評価 | 本番の通信から一部のセッションを抜き出して継続して採点し、品質の傾向を見ます。 |
| 評価 | 指定したトレースだけを採点します。報告された問題の調査、修正の確認、開発中のテストに使います。 |
| バッチ評価 | 多数のセッションをまとめて採点し、変更の前後を比べます。 |
用意された評価器に加えて、独自の評価器も作れます。 独自の評価器には、審査役のモデルへの指示と採点の基準を自分で決めるLLM-as-a-judgeの評価器と、関数で決まった規則を確かめるコードによる評価器があります。
④業務目標との整合を測る指標 ⚠️ 頻出
| 指標 | 内容 | 判断に使う場面 |
|---|---|---|
| 利用者の依頼を、人の手を借りずに完了できた割合です。 | 自動化の効果を示したい | |
| 利用者の満足度 | 評価ボタンやアンケートの結果です。 | 体験の質を確かめたい |
| インタラクションあたりの費用 | 1回のやり取りにかかるやツールの費用です。 | 費用対効果を示したい |
| 人への引き継ぎ率 | 担当者へ回した割合です。 | エージェントの限界を把握したい |
| 応答時間 | 依頼から回答までの時間です。 | 利用者の待ち時間を改善したい |
⚠️ 頻出: モデルの指標が良くても、タスク完了率や満足度が上がらなければ、アプリケーションとしては目的を果たしていません。
⑤評価の進め方
| 段階 | すること |
|---|---|
| 公開前 | 評価用のデータセットで、モデル、、エージェントを比べます。 |
| 公開時 | 一部の利用者で新旧を比べます。 |
| 公開後 | 本番の記録を継続して評価し、利用者の反応を集めます。 |
| 改善 | 評価の結果から、、検索、ツールの説明などを直します。 |
(ヒューマンインザループ) は、自動評価の結果の確認や、安全性のような判断の難しい観点に使います。
試験対策
①判断マトリクス
| 問題文のキーワード | 選ぶ方法 |
|---|---|
| で必要な文書を取り出せているか確かめたい | RAGの評価 (検索のみ) |
| RAGの回答が文書に忠実か確かめたい | RAGの評価 (検索と生成) |
| 意味の正しさや有用性を大量に採点したい | |
| エージェントが目標を達成し、正しいツールを選んだか確かめたい | エージェントの評価 () |
| 自動化の効果を事業側へ示したい | 、インタラクションあたりの費用 |
| 審査役のモデルの採点が妥当か確かめたい | 一部を人間が評価して比べる |
②よくある誤答
- モデルの評価だけでアプリケーションの品質が分かると考えること。検索やツールの選択の問題は見えません。
- の回答が悪いときに、すぐにモデルを替えること。まず検索で必要な文書を取れているかを確かめます。
- の採点を、確認せずにそのまま信じること。人間による確認と組み合わせます。