AIF / ドメイン2 生成AIの基礎
重要な内容
生成AIの利点と限界
は万能ではありません。 AIF-C01では、業務課題に対して生成AIの利点が効くのか、限界が問題になるのかを判断させる問題が出ます。
概要
の利点と限界は表裏です。 自由に応答できる柔軟さは、同時に出力が揺れて誤りが混ざる原因にもなります。
| 利点 | 内容 |
|---|---|
| 適応性 | 1つのモデルで多くのタスクに対応できます。 |
| 応答性 | 依頼にその場で応答し、学習を待たずを変えるだけで挙動を変えられます。 |
| 単純さ | 専用モデルの開発と運用が不要になります。 |
| 立ち上がりの速さ | を呼ぶだけで試作できます。 |
| 会話能力 | 言い回しの違う自由な質問を理解し、前のやり取りを踏まえて追加の質問にも答えられます。 |
| コンテンツ生成能力 | 文章、画像、コードなどの新しい内容を短時間で大量に作れます。 |
| 創造性 | 新しい表現や案を作り出せます。 |
主要技術
①ハルシネーション ⚠️ 頻出
は、モデルが事実でない内容を自信のある書き方で出力することです。 モデルは次に来る言葉の確率を選んでいるだけで、事実の照合はしていないため起こります。
| 対策 | 効果 |
|---|---|
| で根拠文書を渡す | 回答を手元の文書に基づかせます。 |
| 出典の提示を求める | 検証できる形にします。 |
| を下げる | 出力の揺れを抑えます。 |
| を設ける | 望まない出力を遮ります。 |
| 人間による確認を挟む | 影響の大きい判断で誤りを止めます。 |
⚠️ 頻出: 「事実と異なる回答が返る」という記述はハルシネーションです。第一の対策はRAGによる根拠付けです。
検出の方法 (、、) は、「ハルシネーションの検出と」の章で扱います。
Point
- hallucination = 幻覚 です。hallucinate は「幻を見る」 という動詞です。
- モデルは知らないことを「知らない」と言わずに埋めてしまう性質があると覚えます。
- 和訳
- hallucination: 幻覚、幻想
- Weblio英和辞書「hallucination」
②非決定性
同じでも出力が毎回変わります。 これは次のトークンを確率的に選ぶ仕組みによるものです。
| 影響 | 対応 |
|---|---|
| 検証が難しい | 評価用のデータセットを用意し、複数回の出力で判断します。 |
| 業務手順に組み込みにくい | 出力形式を指定し、後段で検証します。 |
| 再現性がない | を下げ、必要なら決定的な処理へ切り替えます。 |
⚠️ 頻出: 「毎回同じ結果でなければならない」という要件はに向きません。
③解釈性の低さ
なぜその出力になったのかを内部から説明することが困難です。 規制上の説明責任が必要な判断では、この点が障害になります。
| 観点 | 対応 |
|---|---|
| 根拠の提示 | で参照文書を示し、出典を回答へ含めます。 |
| 文書化 | 用途、制約、評価結果をとして残します。 |
| 説明可能な代替 | 判断の理由が必須なら、説明しやすいモデルや規則ベースを検討します。 |
④知識の鮮度と範囲
モデルは学習した時点までの知識しか持ちません。 最新情報や社内固有の情報は、外部から与える必要があります。
| 与え方 | 特徴 |
|---|---|
| へ直接書く | 少量の情報に向きます。 |
| 大量の文書を検索して渡します。更新が容易です。 | |
| 文体や様式を寄せるのに向きます。頻繁な更新には不向きです。 |
⚠️ 頻出: 頻繁に更新される情報を反映する手段はRAGです。ファインチューニングでは更新のたびに学習が必要になります。
⑤不正確さ (計算と正確な値)
は言葉の並びを確率で予測しており、計算機やデータベースのように値を正確に扱う仕組みではありません。 そのため、合計金額の計算の誤り、桁や単位の取り違え、在庫数や料金を推測で答える、といった不正確さが起こります。
| 場面 | 対応 |
|---|---|
| 金額や数量の計算 | 計算はプログラムなどの決定的な処理で行い、モデルには結果の説明を書かせます。 |
| 在庫や料金など、日々変わる正確な値 | モデルに推測させず、エージェントのツールとしてやデータベースを呼び出して正しい値を取得します。 |
| 出力の値の確認 | 規則や情報源と照合して検証します (「の検出と」の章)。 |
⚠️ 頻出: 「正確な値が必要」な部分は、に作らせず、決定的な処理や情報源から取ってきます。
⑥その他の限界と留意点
| 限界 | 内容 |
|---|---|
| コスト | で課金され、利用量に比例して増えます。 |
| 遅延 | 大きなモデルや長い出力では応答が遅くなります。 |
| の偏りが出力へ現れます。 | |
| 安全性 | 有害な内容や機密情報の混入を防ぐ仕組みが必要です。 |
| 著作権と | 生成物の権利や学習データの扱いに注意が必要です。 |
| 入力の保護 | 機密情報をへ入れる範囲を運用で決めます。 |
⑦生成AIを使わない判断 ⚠️ 頻出
利点が効かず、限界がそのまま業務の障害になる場面では、を使わない (または補助に限る) のが正しい判断です。
| 業務の要件 | 問題になる限界 | 選ぶもの |
|---|---|---|
| 同じ入力に毎回同じ結果を返すことが必須 (監査、再計算) | 規則やプログラムによる決定的な処理 | |
| 判断の理由を本人や規制当局へ説明する義務がある (融資の可否など) | 解釈可能性の低さ | 説明しやすいモデルや規則ベースで判定し、生成AIは通知文の下書きなどに限ります |
| 金額や数量を1円の誤りもなく計算する | 不正確さ | 決定的な計算処理 |
| ミリ秒単位で動作を決める制御 (設備の非常停止など) | 遅延と非決定性 | 規則に基づく制御 |
| 定型の分析を大量に安く行う (感情分析、文字起こし) | コスト | 用途に特化したAIサービス (、 など) |
生成AIを使う場合でも、影響の大きい判断は人間が確認してから確定します。
試験対策
①判断マトリクス
| 問題文のキーワード | 判断 | 対策 |
|---|---|---|
| 事実でない回答が混ざる | 、出典提示、人間の確認 | |
| 毎回異なる出力になる | を下げる、出力形式を固定する | |
| 判断の根拠を示す必要がある | 解釈性の低さ | 根拠文書の提示、説明可能な代替 |
| 最新の社内情報を反映したい | 知識の鮮度 | RAG |
| 計算や在庫数などの値を誤る | 不正確さ | 決定的な処理、やデータベースから値を取得 |
| 説明責任があり、毎回同じ判定が必要 | 解釈可能性、非決定性 | を使わず規則や説明しやすいモデル |
| 出力が特定の属性に偏る | データの見直し、評価と監視 | |
| 有害な出力を止めたい | 安全性 |
②よくある誤答
- の対策としてを第一に選ぶこと。根拠を与えるが基本です。
- を0に近づければ誤りがなくなると考えること。揺れは減りますが誤りの内容は消えません。
- の限界を運用で補えないと考えること。人間の確認とで扱える範囲を作るのが実務です。