CLF / ドメイン4 請求、料金、サポート
重要な内容
AWSのコスト管理
AWSは使った分だけ支払うが基本のため、とは費用の管理方法が変わります。 AWSには、導入前の見積もり、利用中のコストの可視化、予算超過の通知、詳細な明細分析のためのツールが用意されています。
CLFのDomain 4(請求、料金、サポート)の中心となるテーマで、「どの場面でどのツールを使うか」を選ぶ問題が非常によく出ます。
概要
AWSのコスト管理は、「使う前に見積もる」「使いながら把握する」「使いすぎを防ぐ」という時間軸で整理すると分かりやすいです。
コスト配分タグを併用すると、部門やプロジェクトごとのコスト内訳も追跡できます。
試験では、問題文のキーワードから「見積もりか、可視化か、通知か、詳細レポートか」を判断し、対応するツールを選べることが重要です。
主要技術
①従量課金と料金の3要素 ⚠️ 頻出
AWSの料金は、初期費用や長期契約なしで、使った分だけ支払うのが基本です。 多くのサービスで、料金は主に次の3要素で決まります。
| 料金の要素 | 例 | 判断ポイント |
|---|---|---|
| コンピューティング | の稼働時間、の実行時間 | 使った時間や回数に応じて課金されます。 |
| ストレージ | やに保存したデータ量 | 保存量と保存期間に応じて課金されます。 |
| データ転送(送信) | AWSからインターネットへのデータ送信 | 外へ送るデータ(アウトバウンド)に課金されます。 |
データ転送は方向が重要です。インターネットからAWSへの受信(インバウンド)は無料で、AWSから外部への送信(アウトバウンド)に課金される傾向があります。
AWSの中の通信も、どこからどこへ送るかで料金が変わります。
| 転送の経路 | 料金の考え方 |
|---|---|
| 同じ内で、プライベートを使うEC2どうしの通信 | 無料です。 |
| 同じ内の別のAZへの通信 | 課金されます(EC2どうしの通信など)。 |
| S3から、同じリージョンのAWSサービス(EC2など)への転送 | 無料です。 |
| S3からへの転送 | 無料です(CloudFrontから利用者への配信は課金されます)。 |
| あるリージョンから別のリージョンへの転送 | 送信元で課金されます。リージョンをまたぐ複製や処理は転送料金を伴います。 |
データを処理するサービスは、データと同じリージョン(できれば同じAZ)に置くと転送料金を抑えられます。
料金の考え方として、次の原則も押さえます。
- (Pay-as-you-go): 使った分だけ支払います。
- コミットによる割引(Save when you commit): やのように、利用を約束すると割引されます。
- 量による割引(Pay less by using more): S3のように、使用量が増えるほど単価が下がる段階制の料金があります。
Point
- Pay-as-you-go は「使うたびに支払う」=従量課金のことです。
- インバウンド(inbound) = 中へ入る通信(受信)、アウトバウンド(outbound) = 外へ出る通信(送信)です。
- 試験では「データ転送 アウト(送信)に課金、イン(受信)は無料」と覚えます。
- 和訳
- commit: 約束する、委ねる
- Weblio英和辞書「commit」
②無料利用枠(AWS Free Tier)
AWSには、コストをかけずにサービスを試せるがあります。試験では次の3種類を区別します。
| 種類 | 内容 | 判断ポイント |
|---|---|---|
| 常時無料(Always Free) | 期限なしで毎月一定量まで無料 | の一定の無料リクエスト数など、期限切れがありません。 |
| 12か月無料 | アカウント作成から12か月間、一定量まで無料 | 期間と使用量の両方に上限があります。 |
| トライアル | サービスの利用開始から短期間だけ無料 | サービスを有効化した時点から期間が始まります。 |
なお、2025年7月15日以降に作成するアカウントでは、無料利用枠の仕組みが変わりました。新規の利用者はクレジットを受け取り、アカウントの作成時に次の2つのプランから選びます。12か月無料の枠は、それより前に作成したアカウントに残る旧来の仕組みです。
| プラン | 内容 | 判断ポイント |
|---|---|---|
| 無料プラン(Free plan) | クレジットと常時無料の範囲で、一部のサービスを試せます | 料金は発生しません。6か月が過ぎるかクレジットを使い切るとアカウントが閉じられ、続けるには有料プランへ切り替えます。やは購入できず、への参加などで自動的に有料プランへ切り替わります。 |
| 有料プラン(Paid plan) | すべてのサービスを使え、クレジットも使えます | クレジットを超えた分や、クレジットの対象外の利用は通常ので請求されます。一部のサービスの短期トライアルも使えます。 |
どちらのプランでも、常時無料のサービスは毎月の上限まで無料です。
③AWS Pricing Calculator ⚠️ 頻出
AWS Pricing Calculatorは、AWSを使い始める前に費用を見積もるための無料のWebツールです。 AWSアカウントがなくても利用でき、利用したいサービスと構成を入力すると、月額などの概算費用を計算できます。
- 移行前やシステム設計時に、構成ごとの費用を比較できます。
- 見積もりはリンクとして保存・共有でき、CSVやPDF形式でもエクスポートできます。
「これから使う場合の費用」を扱うのはPricing Calculatorだけです。ほかのツールはすべて、実際に発生したコストを対象にします。
各サービスの単価や料金体系は、サービスごとの料金ページで公開されています。社内の見積もりシステムなどへプログラムから単価を取り込みたい場合は、AWS Price List (Query APIとBulk API)で、サービスとごとの最新の料金情報を取得できます。Pricing Calculatorが人が画面で構成を入力して見積もるツールであるのに対し、Price List APIは料金表そのものをデータとして返します。
Point
- Pricing Calculator = 料金(Pricing)の計算機(Calculator)です。
- 「導入前の見積もり」というキーワードで選びます。まだ使っていないので、実績データを見るCost Explorerでは答えられません。
- 和訳
- estimate: 見積もり、概算
- Weblio英和辞書「estimate」
④AWS Cost Explorer ⚠️ 頻出
は、実際に発生したコストと使用量をグラフや表で可視化・分析するツールです。
- 過去最大13か月分のコストを、サービス別、期間別などで確認できます。
- 過去の傾向にもとづいて、将来のコストを予測(フォーキャスト)できます。
- サービス、、コスト配分タグなどでフィルタリングやグループ化ができます。
- の管理アカウントでは、メンバーアカウント(連結アカウント)ごとにコストをグループ化して表示できます。
「先月どのサービスにいくら使ったか」「コストが増えている原因はどのサービスか」のように、過去から現在のコストを分析する場面で選びます。
Point
- Explorer は「探検する人」の意味で、コストの内訳を探索・分析するツールと覚えます。
- 時間軸で整理すると、
- Pricing Calculator = 未来(使う前の見積もり)
- Cost Explorer = 過去〜現在の分析と、実績にもとづく予測
- です。
- 和訳
- explore: 探検する、調査する
- Weblio英和辞書「explore」
⑤AWS Budgets ⚠️ 頻出
は、あらかじめ設定した予算のしきい値に対して、コストや使用量を追跡し、超過(または超過見込み)をアラートで知らせるツールです。
- 実績値がしきい値を超えたときだけでなく、予測値が予算を超えそうなときにも通知できます。
- 通知はEメールやトピックへ送信できます。
- コスト予算のほかに、使用量の予算や、・の利用率などを対象にした予算も作成できます。
- 予算アクション(budget actions)を設定すると、しきい値超過時にの適用などの対応を自動化できます。
なお、の請求でも、概算請求額がしきい値を超えたときにSNSで通知できます。ただし、予算管理の機能として問われた場合はAWS Budgetsを優先して選びます。
Point
- Budget = 予算です。「予算」「しきい値」「アラート・通知」というキーワードが出たらBudgetsを選びます。
- Cost Explorerは「見る・分析する」ツール、Budgetsは「見張って知らせる」ツールと役割を分けて覚えます。
- 和訳
- budget: 予算
- Weblio英和辞書「budget」
- threshold: しきい値、境界
- Weblio英和辞書「threshold」
⑥AWS Cost and Usage Report(CUR)
(CUR)は、AWSが提供する中で最も包括的で詳細なコストと使用量のデータです。
- 指定したへ、CSV形式のレポートファイルとして配信されます。
- 時間単位、日単位、月単位の粒度を選べ、製品、リソース、タグ別に明細を分解できます。
- やなどと連携して、大量の明細データを分析できます。
が画面上での分析に向くのに対し、CURは「明細レベルの生データを取得して独自に分析したい」場合に選びます。
現在は、Billing and Cost ManagementコンソールのAWS Data ExportsからCost and Usage Report 2.0(CUR 2.0)を作成する方法が推奨されています。CUR 2.0では必要な列だけを選んでS3へ定期的にエクスポートでき、有効化したコスト配分タグも列として含められます。
Point
- CUR = Cost and Usage Report(コストと使用量レポート) の略です。
- 「最も詳細(most detailed / comprehensive)なコストデータ」というキーワードが出たらCURを選びます。
- 配信先がS3バケットである点もよく問われます。
⑦コスト配分タグ
コスト配分タグ(cost allocation tags)は、リソースに付けたタグ(キーと値のラベル)を使って、コストを部門やプロジェクトなどの単位で分類・追跡する仕組みです。
| 種類 | 内容 | 判断ポイント |
|---|---|---|
| ユーザー定義タグ | 利用者が自分で作成して付けるタグ | 部門名、プロジェクト名、環境名などで分類します。 |
| AWS生成タグ | AWSが自動的に作成・付与するタグ | aws:createdBy で、リソースを作成したユーザーやロールを追跡できます。有効化した後に作成されたリソースに付きます。 |
どちらのタグも、Billingコンソールで有効化(アクティブ化)してはじめて、やに表示されます。有効化後、反映まで最大24時間かかることがあります。を使う場合、コスト配分タグを有効化できるのは管理アカウントです。
「部門ごとのAWS利用料を把握したい」「プロジェクト単位でコストを配分したい」という要件では、コスト配分タグを選びます。
Point
- cost allocation = コストの割り当て・配分です。
- タグを付けるだけでは不十分で、有効化が必要な点が引っかけどころです。
- 和訳
- allocation: 割り当て、配分
- Weblio英和辞書「allocation」
⑧コスト管理ツールの使い分け ⚠️ 頻出
各ツールの役割を時間軸と目的で整理します。この表がこのページの核心です。
| ツール | 時間軸 | 目的 | 試験でのキーワード |
|---|---|---|---|
| AWS Pricing Calculator | 未来(利用前) | 導入・移行前の費用見積もり | 「移行前に見積もる」「アカウント不要」 |
| 過去〜現在(+予測) | コストの可視化・分析・予測 | 「サービス別の内訳」「コストの傾向」「予測」 | |
| 現在〜未来 | 予算しきい値の監視と通知 | 「予算超過」「アラート」「通知」 | |
| 過去〜現在 | 最も詳細な明細データの取得 | 「最も詳細」「に配信」「で分析」 | |
| コスト配分タグ | 過去〜現在 | 部門・プロジェクト別の分類 | 「部門ごと」「プロジェクト単位」「タグ」 |
| 請求 | 現在 | 概算請求額のしきい値通知 | 「請求額のアラーム」「通知」 |
請求書や支払い情報は、AWS Billing and Cost Managementコンソールで確認します。ユーザーやロールは、で権限を与えても、既定ではこのコンソールを開けません。が一度「IAMアクセスを有効化」の設定を行い、そのうえで請求の閲覧などに必要なIAMポリシーを付与します。経理担当者にルートユーザーの認証情報を渡す必要はありません。
試験対策
CLFの問題では、まず「見積もり・可視化・通知・詳細レポート・分類」のどれを求められているかを読み取ります。
| 問題文のキーワード | 選ぶツール | 理由 |
|---|---|---|
| 移行前・導入前に費用を見積もりたい | AWS Pricing Calculator | まだ使っていない構成の費用を概算できる唯一のツールです。 |
| 先月どのサービスにいくら使ったか知りたい | 過去のコストをサービス別に可視化・分析できます。 | |
| 今後のコストを予測したい | AWS Cost Explorer | 実績にもとづく将来コストの予測機能があります。 |
| 予算を超えそうなときに通知してほしい | しきい値に対する実績・予測のアラートを送信できます。 | |
| 最も詳細なコスト・使用量データが必要 | 明細レベルの最も包括的なデータをに配信します。 | |
| 部門やプロジェクトごとにコストを分けたい | コスト配分タグ | タグ単位でコストを分類・追跡できます。 |
| 受信と送信のどちらのデータ転送に課金されるか | 送信(アウトバウンド) | 受信は無料、外部への送信に課金される傾向があります。 |
| 期限なしで毎月一定量まで無料 | 常時無料の | 12か月無料・トライアルとの区別が問われます。 |
よくある誤答パターンは次の2つです。
1つ目は、Pricing CalculatorとCost Explorerの混同です。「これから使う費用」はPricing Calculator、「すでに使った費用」はCost Explorerです。Cost Explorerにも予測機能はありますが、実績データにもとづくため、まだ使っていない構成の見積もりには使えません。
2つ目は、Cost ExplorerとBudgetsの混同です。どちらもコストを扱いますが、「分析・可視化」ならCost Explorer、「しきい値の通知」ならBudgetsです。
参考文献
- Cloud Services Pricing - AWS Pricing
- Free Cloud Computing Services - AWS Free Tier
- What is AWS Pricing Calculator?
- Analyzing your costs and usage with AWS Cost Explorer
- Managing your costs with AWS Budgets
- What are AWS Cost and Usage Reports?
- Organizing and tracking costs using AWS cost allocation tags
- AWS Certified Cloud Practitioner (CLF-C02) Exam Guide