CLF / ドメイン3 クラウドテクノロジーとサービス
重要な内容
Amazon VPC (Virtual Private Cloud)
は、AWSクラウドの中に自分専用の仮想ネットワークを作るサービスです。 作成したネットワークは他の利用者から論理的に分離されており、その中に インスタンスやデータベースなどのリソースを配置します。
CLF では、VPC を構成する要素(、ゲートウェイ、)の役割と、「どの通信要件にどの機能を選ぶか」を判断できることが重要です。
Point
- VPC = Virtual Private Cloud(仮想プライベートクラウド) の略です。
- Virtual(仮想の)+ Private(私的な・専用の)+ Cloud(クラウド) で、「クラウド内に作る自分専用の仮想ネットワーク」と覚えます。
- 和訳
- Virtual: 仮想の
- Weblio英和辞書「virtual」
概要
は、自社のデータセンターで運用する従来のネットワークによく似た仮想ネットワークです。 サーバーやケーブルを購入せずに、ネットワークの範囲、区画、外部との接続方法を自分で定義できます。 AWSアカウントには各にデフォルトVPCが用意されており、すぐに インスタンスを起動して接続できます。
VPC の中はという区画に分割し、そこへリソースを配置します。 インターネットとの出入口にはゲートウェイを置き、通信をどこへ送るかはで決めます。
VPC 自体の利用に追加料金はかかりませんが、など一部のコンポーネントには料金が発生します。
試験では、との違い、通信の出入口となるゲートウェイの選択、との接続方法を判断します。
主要技術
①VPCとCIDR
はを選んで作成し、そのリージョン内の複数の(AZ)にまたがります。
作成するときは、その VPC で使う アドレスの範囲を ブロック(例: 10.0.0.0/16)で指定します。
この範囲をさらに小さく区切ったものがです。
CLF では CIDR の細かい計算は問われません。 「VPC は IP アドレスの範囲を持つ」「その範囲をサブネットに分割して使う」という関係を押さえれば十分です。
Point
- CIDR = Classless Inter-Domain Routing の略で、「サイダー」と読みます。
10.0.0.0/16のように「先頭アドレス/ビット数」で IP アドレスの範囲を表す記法です。/の後ろの数字が大きいほど範囲は狭くなります(/24は/16より狭い範囲です)。- 和訳
- Classless: 階級のない
- Weblio英和辞書「classless」
②サブネット(パブリックとプライベート) ⚠️ 頻出
は、 内の アドレス範囲を区切った区画で、リソースを配置する場所です。 1つのサブネットは必ず1つの の中に収まり、複数の AZ をまたぐことはできません。 複数の AZ にサブネットを分けてリソースを配置すると、1つの AZ の障害に備えられます。
パブリックかプライベートかは、サブネットの設定項目ではなく、後述するの内容で決まります。
| サブネットの種類 | 特徴 | 判断ポイント |
|---|---|---|
| へのルートを持ちます。 | Webサーバーなど、インターネットから直接アクセスされるリソースを置きます。 | |
| インターネットゲートウェイへの直接のルートを持ちません。 | データベースなど、インターネットに公開しないリソースを置きます。 |
⚠️ 頻出: 「データベースをインターネットから直接アクセスできない場所に配置したい」という要件は、プライベートサブネットが答えになります。
③インターネットゲートウェイとNATゲートウェイ ⚠️ 頻出
どちらもインターネット向けの通信に関わりますが、通信の方向が異なります。
| 機能 | 役割 | 判断ポイント |
|---|---|---|
| とインターネットの間の双方向通信の出入口です。VPC にアタッチして使います。 | 「VPC をインターネットに接続する」「外部からアクセスされるサーバーを公開する」で選びます。 | |
| のリソースが、外向きにインターネットへ通信するための仕組みです。 | 「プライベートサブネットからインターネットへ」で選びます。インターネット側から接続を開始することはできません。 |
NATゲートウェイはに配置し、プライベートサブネットからの通信をインターネットゲートウェイ経由で外へ送ります。 なお、2025年に加わった単位の NATゲートウェイ(リージョナルモード)は、パブリックサブネットを用意せずに VPC へ作成でき、ワークロードのある へ自動で広がります。どちらのモードでも、外部から接続を開始できない点は同じです。
NATゲートウェイは AWS が管理するで、利用時間や処理したデータ量に応じて料金が発生します。
Point
- NAT = Network Address Translation(ネットワークアドレス変換) の略です。
- プライベートIPアドレスを NATゲートウェイのアドレスに変換して外へ出す仕組みです。
- 「外へは出られるが、外からは入れない一方通行の出口」のイメージで覚えます。
- 和訳
- Translation: 変換、翻訳
- Weblio英和辞書「translation」
⚠️ 頻出: 「プライベートサブネットのインスタンスが の更新プログラムをダウンロードしたい」は NATゲートウェイ、「VPC 内のサーバーをインターネットに公開したい」はインターネットゲートウェイとパブリックサブネットの組み合わせです。
④ルートテーブル
は、から出る通信を宛先に応じてどこへ送るかを決める経路表です。 各サブネットは必ず1つのルートテーブルに関連付けられ、何も指定しなければ のメインルートテーブルが使われます。
典型的なルートの例は次のとおりです。
| 宛先 | ターゲット | 意味 |
|---|---|---|
VPC の (例: 10.0.0.0/16) | local | VPC 内の通信です。すべてのルートテーブルに含まれます。 |
0.0.0.0/0(すべての宛先) | このルートを持つサブネットがです。 | |
0.0.0.0/0(すべての宛先) | から外向きにインターネットへ通信します。 |
ルートテーブルは通信の経路を決めるだけで、通信を許可するかどうかは判断しません。 許可・拒否の制御は、次のとの役割です。
⑤セキュリティグループとネットワークACL
内の通信を制御する2種類の仮想ファイアウォールです。 詳細は別Page「と」で説明しているため、ここでは判断に必要な要点だけを整理します。
| 比較項目 | セキュリティグループ | ネットワークACL |
|---|---|---|
| 適用単位 | などのリソース単位 | 単位 |
| 状態 | (戻り通信を自動許可) | (往路と復路を別々に許可) |
| ルール | 許可のみ | 許可と拒否 |
| 主な用途 | 個々のリソースへの細かなアクセス制御 | サブネット全体の追加防御、特定通信の拒否 |
⚠️ 頻出: 「特定の アドレス範囲を明示的に拒否したい」はネットワークACL、「リソース単位で必要な通信だけを許可したい」はセキュリティグループです。
⑥VPCピアリングとVPCエンドポイント
の外にある相手と、インターネットを経由せずにプライベートに通信するための機能です。 接続する相手が「別の VPC」なのか「AWS のサービス」なのかで使い分けます。
| 機能 | 用途 | 判断ポイント |
|---|---|---|
| 2つの VPC 間をプライベートで接続します。 | 「VPC 同士を接続したい」で選びます。多数の VPC をまとめて接続する場合は を検討します。 | |
| VPC(ゲートウェイ型) | と へ、や を経由せずにアクセスします。 | 「S3 や DynamoDB へインターネットを経由せずアクセス」で選びます。 |
| VPCエンドポイント(インターフェイス型) | を利用して、多くの AWS サービスや他社のサービスへプライベートに接続します。 | 「S3・DynamoDB 以外のサービスへのプライベート接続」で選びます。 |
VPCエンドポイントを使う通信は AWS のネットワーク内で完結し、パブリックなインターネットを通りません。 料金の考え方も異なります。ゲートウェイ型の VPCエンドポイントには追加料金がかかりません。インターフェイス型は、エンドポイントの時間と処理したデータ量に応じて課金されます。 から同じの S3 へ大量のデータを 経由で送ると、NATゲートウェイのデータ処理料金がかさみます。ゲートウェイ型のエンドポイントへ経路を切り替えると、この料金をなくせます。
Point
- Peering(ピアリング) は「対等接続」という意味です。Peer は「対等な相手・仲間」を指します。
- Endpoint(エンドポイント) は「接続の終点」という意味で、VPC の中に作る AWS サービスへの専用入口のイメージです。
- ゲートウェイ型の対象は S3 と DynamoDB の2つ、それ以外はインターフェイス型(PrivateLink)と覚えます。
- 和訳
- peer: 同等の者、仲間
- Weblio英和辞書「peer」
⑦ハイブリッド接続(Site-to-Site VPNとDirect Connect)
のネットワークと を接続し、ハイブリッド環境を構成する代表的な方法は2つあります。
| 接続方法 | 仕組み | 判断ポイント |
|---|---|---|
| インターネット経由で、 により暗号化された 接続を確立します。 | 短期間・低コストで接続したい場合に選びます。通信品質はインターネットの状況に左右されます。 | |
| 専用線でオンプレミスと AWS を物理的に接続します。インターネットを経由しません。 | 安定した帯域幅と一貫したネットワーク性能が必要な場合に選びます。開通までに時間がかかります。 |
Site-to-Site VPN では、AWS 側の接続点として仮想プライベートゲートウェイ(または )を使い、オンプレミス側の機器をカスタマーゲートウェイとして登録します。
Point
- Site-to-Site(サイト間) は「拠点と拠点をつなぐ」という意味です。オンプレミス拠点と AWS を VPN でつなぎます。
- Direct Connect は「直接接続」という意味で、専用線で AWS へ直結するサービスです。
- 「VPN = インターネット経由・暗号化・すぐ使える」「Direct Connect = 専用線・経由しない・安定」とセットで覚えます。
- 和訳
- dedicated: 専用の
- Weblio英和辞書「dedicated」
⚠️ 頻出: 「専用線」「一貫したネットワークパフォーマンス」というキーワードは Direct Connect、「暗号化された接続をすばやく低コストで確立」は Site-to-Site VPN です。
試験対策
CLF の問題では、まず「どこからどこへの通信か」を確認します。 インターネットとの出入りか、 同士か、AWS サービスへの接続か、との接続かを整理すると、選ぶ機能が絞れます。
| 問題文のキーワード | 優先して考える機能 | 理由 |
|---|---|---|
| VPC をインターネットに接続 | VPC とインターネットの双方向の出入口です。 | |
| からインターネットへ(外向きのみ) | 外向き通信だけを通し、外部から接続を開始できません。 | |
| インターネットに公開するサーバーの配置場所 | インターネットゲートウェイへのルートを持ちます。 | |
| データベースを外部非公開の場所に配置 | プライベートサブネット | インターネットゲートウェイへの直接ルートがありません。 |
| 通信をどこへ送るかを制御 | 宛先に応じた経路を決定します。 | |
| リソース単位で通信を許可 | で許可ルールのみ設定します。 | |
| 単位で特定通信を拒否 | 拒否ルールを設定できます。 | |
| 2つの VPC 間をプライベートに接続 | プライベートで相互通信できます。 | |
| へインターネットを経由せずアクセス | VPC(ゲートウェイ型) | 通信が AWS ネットワーク内で完結します。 |
| 専用線でオンプレミスと接続 | インターネットを経由しない物理接続です。 | |
| 暗号化された接続をすばやく低コストで構築 | インターネット経由の です。 | |
| VPC 内の通信記録を取得 | VPC フローログ | ネットワークインターフェイスを出入りする IP 通信の送信元・宛先・ポート・許可か拒否かを記録し、 Logs や S3 へ配信します。 |
よくある誤答のパターンは次の3つです。
- インターネットゲートウェイと NATゲートウェイの混同です。NATゲートウェイは「プライベートサブネットからの外向き通信」専用で、外部にサーバーを公開する機能ではありません。
- VPCピアリング(VPC 同士の接続)と VPCエンドポイント(VPC から AWS サービスへの接続)の混同です。接続する相手が何かを確認します。
- Site-to-Site VPN と Direct Connect の混同です。「インターネット経由か専用線か」「すぐ使えるか安定性重視か」で判断します。
参考文献
- What is Amazon VPC? - Amazon Virtual Private Cloud
- Subnets for your VPC - Amazon Virtual Private Cloud
- NAT gateways - Amazon Virtual Private Cloud
- AWS PrivateLink concepts - Amazon Virtual Private Cloud
- What is AWS Site-to-Site VPN?
- What is Direct Connect? - AWS Direct Connect
- AWS Certified Cloud Practitioner (CLF-C02) Exam Guide