CLF / ドメイン3 クラウドテクノロジーとサービス

AWS Snow Family

は、物理デバイスを使って大容量データをオフラインで AWS へ運ぶためのサービス群です。 デバイスにはコンピューティング能力も搭載されており、ネットワークが不安定な現場でのエッジコンピューティングにも利用できます。

CLF では、「オンライン転送では時間がかかりすぎる大量データを、物理デバイスで運ぶ」という考え方と、 や などのオンライン系サービスとの使い分けを判断できることが重要です。

Point
  • Snow(雪) という名前は、「雪のように大量のデータを運ぶ」イメージのサービス群です。
  • 代表的なデバイスは Snowball Edge(スノーボール エッジ) で、「雪玉(Snowball)」のように箱ごとデータを転がして運ぶと覚えます。
  • Edge(エッジ) は「端、縁」という意味で、クラウドの外側にある現場(工場、船上、遠隔地など)を指します。
  • 和訳

概要

インターネット回線で数十テラバイト〜ペタバイト級のデータを AWS へ送ると、帯域によっては数週間から数か月かかることがあります。 では、AWS から配送された専用の物理デバイスへ拠点でデータをコピーし、デバイスを AWS へ返送することで、ネットワークを使わずにデータを移行します。

概要の図 ジョブ作成マネジメントコンソール AWSがデバイスを拠点へ配送 拠点でデータをデバイスへコピー デバイスをAWSへ返送 AWSがAmazon S3へデータを取り込み

代表的な使い道は、データセンター移行時の大量データ転送、帯域が限られた遠隔地からのデータ収集、ネットワークが使えない環境でのローカルなデータ処理(エッジコンピューティング)です。

なお、Snow Family のデバイスラインナップは近年大きく変わっています。 現在の公式ラインナップは Snowball Edge のみで、しかも新規の利用は終了しています(詳細は主要技術③で説明します)。 試験では従来どおり「物理デバイスによるオフライン転送」の考え方が問われるため、判断軸を中心に押さえます。


主要技術

①オフラインデータ転送の仕組み ⚠️ 頻出

の基本は、ネットワークの代わりに物理的な配送でデータを運ぶことです。 利用者がジョブを作成すると AWS がデバイスを配送し、利用者は拠点内のローカルネットワーク経由でデータをデバイスへコピーします。 返送されたデバイスから、AWS がデータを へ取り込みます。

セキュリティ面では、デバイス上のデータは常に暗号化され、輸送中も保存中も保護されます。 デバイスは耐衝撃性のある筐体で、配送ラベルは E Ink ディスプレイに電子的に表示されるため、貼り替えによる誤配送のリスクを減らせます。

⚠️ 頻出: 「ネットワークを使わずにペタバイト級のデータを AWS へ移行したい」という要件では、Snow Family(物理デバイスによるオフライン転送)を選びます。

Point
  • E Ink(電子インク) は、電子書籍リーダーにも使われる表示技術です。デバイスの配送先が自動的に表示されます。
  • データの取り込み先は Amazon S3 が基本です。「Snow で運んだデータは S3 に入る」と覚えます。

②オンライン転送かオフライン転送かの判断軸 ⚠️ 頻出

を選ぶかどうかは、データ量そのものではなく、手持ちのネットワーク帯域で転送した場合にかかる時間が許容できるかで判断します。 同じ 100 TB でも、高速な専用線があればオンライン転送で十分ですし、細い回線しかなければ物理デバイスのほうが早く着きます。

②オンライン転送かオフライン転送かの判断軸 ⚠️ 頻出の図 できる できない・時間がかかりすぎる できる できない 大量データをAWSへ移行したい ネットワーク帯域で期限内に転送できるか オンライン転送AWS DataSync など ネットワーク自体を増強できるか 物理デバイスによるオフライン転送Snow Family など
状況選ぶ方式判断ポイント
帯域が十分にあり、継続的にデータを送りたいオンライン転送( など)ネットワーク経由が最もシンプルで運用しやすいです。
帯域が限られ、オンラインでは数週間〜数か月かかるオフライン転送(Snow Family)転送時間と回線コストを物理配送で回避します。
遠隔地や船上など、そもそも安定した回線がないオフライン転送(Snow Family)ネットワークに依存しない唯一の選択肢です。
拠点の近くまでデバイスを持ち込めるAWS Data Transfer TerminalAWS の物理拠点へ自分のストレージを持ち込み、高速回線でアップロードします。

⚠️ 頻出: 問題文に「帯域幅が限られている」「オンライン転送では時間がかかりすぎる」「ネットワークが不安定」というキーワードがあれば、オフライン転送(Snow Family)を優先して考えます。


③デバイスラインナップと提供状況の変化

現在の のデバイスは Snowball Edge のみで、2 つの構成があります。

デバイス構成特徴用途
Snowball Edge Storage Optimized 210 TB210 TB の使用可能ストレージを搭載します。大容量データの転送が中心の用途に選びます。
Snowball Edge Compute Optimized多くの vCPU とメモリ、28 TB の を搭載します。現場でのデータ処理(エッジコンピューティング)が中心の用途に選びます。

提供状況には重要な変化があります。

  • 小型デバイスの Snowcone と、トレーラーでエクサバイト級データを運ぶ Snowmobile は、現在の公式ラインナップには含まれていません(新規利用不可)。
  • Snowball Edge も、2025 年 11 月 7 日以降は既存顧客のみ利用可能となり、新規顧客は利用できません。
  • AWS は代替として、オンライン転送には 、物理的な持ち込み転送には AWS Data Transfer Terminal、エッジコンピューティングには を案内しています。

古い試験教材では「Snowcone(小型)・Snowball Edge(中型)・Snowmobile(超大型)」の 3 種比較が出てくることがあります。 考え方(データ量と環境に応じてデバイスを選ぶ)は今でも参考になりますが、現行の提供状況とは異なる点に注意します。

Point
  • 旧ラインナップの名前は大きさのイメージで覚えます。
    • Snowcone(スノーコーン) = かき氷カップ。持ち運べる小型デバイスでした。
    • Snowball(スノーボール) = 雪玉。スーツケース大の標準デバイスです。
    • Snowmobile(スノーモービル) = 雪上車。トレーラーで運ぶ超大型でした。
  • 和訳

④エッジコンピューティング ⚠️ 頻出

は単なる「データを入れる箱」ではなく、コンピューティング能力を持つ小さなデータセンターとして使えます。 工場、鉱山、船上、災害現場など、クラウドへの接続が不安定または不可能な場所で、データをその場で処理できます。

機能できること判断ポイント
互換インスタンス からデバイス上でを実行します。現場でアプリケーションを動かしたい場合に使います。
(AWS IoT Greengrass 利用)デバイス上でのコードを実行します。データ収集時にその場で加工したい場合に使います。
互換ストレージデバイス上で S3 と同じ操作でデータを保存します。既存の S3 向けアプリをそのまま使えます。
クラスタリング複数台をまとめて 1 つのストレージ・処理基盤にします。現場でや容量を高めたい場合に使います。

典型的な流れは、「現場でセンサーデータを収集し、デバイス上で必要なデータだけに絞り込み、後でまとめて AWS へ送る(またはデバイスごと返送する)」というものです。

⚠️ 頻出: 「インターネット接続がない環境でデータを処理したい」という要件では、Snowball Edge のエッジコンピューティング機能が答えになります。なお、安定した接続がある拠点で AWS インフラを常設したい場合は が候補になります。


⑤DataSync・Direct Connect・Storage Gateway との使い分け ⚠️ 頻出

CLF では、データ移行・ハイブリッド接続に関わるサービスの役割の違いがよく問われます。 「一度きりの大量移行か、継続的な利用か」「ネットワーク経由か、物理配送か」で整理します。

サービス方式主な用途判断ポイント
物理デバイスの配送(オフライン)一度きりの大量データ移行、非接続環境での処理帯域が足りない、または回線がない場合に選びます。
ネットワーク経由(オンライン)や他クラウドから AWS ストレージへの移行・帯域が十分で、自動化された転送をしたい場合に選びます。
専用ネットワーク回線(オンライン)オンプレミスと AWS の間の安定した常時接続データ転送サービスではなく「回線」です。継続的なハイブリッド接続で選びます。
ネットワーク経由(オンライン)オンプレミスのアプリからクラウドストレージを継続利用移行ではなく「使い続ける」ためのハイブリッドストレージです。
AWS Data Transfer TerminalAWS 拠点への持ち込み(物理)ストレージデバイスを持ち込んで高速アップロードデバイスの手元管理を維持したまま短時間で転送したい場合に選びます。
⑤DataSync・Direct Connect・Storage Gateway との使い分け ⚠️ 頻出の図 オンプレミス・現場 物理デバイスを配送 ネットワークで転送 専用回線で常時接続 クラウドストレージを継続利用 Snow Family AWS DataSync AWS Direct Connect AWS Storage Gateway Amazon S3 AWS クラウド アプリケーション・データ

⚠️ 頻出: DataSync と Snow Family の違いは「オンラインかオフラインか」、Storage Gateway と Snow Family の違いは「継続利用か一度きりの移行か」です。


試験対策

CLF の問題では、まず「データをどうやって AWS へ届けるか」と「ネットワークの状況」を確認します。 帯域が足りない・回線がない・時間がかかりすぎる、というキーワードが出たらオフライン転送を考えます。

問題文のキーワード優先して考える機能・サービス理由
帯域幅が限られ、転送に数週間かかる物理配送でネットワークの制約を回避できます。
ペタバイト級のデータをネットワークなしで移行AWS Snow Family(Snowball Edge)オフラインの大容量転送に対応します。
インターネット接続がない環境でデータを処理Snowball Edge(エッジコンピューティング)デバイス上で 互換インスタンスや を実行できます。
帯域は十分、オンラインで移行を自動化オンライン転送の基本サービスです。
と AWS の安定した専用接続データ移行ではなく専用回線の要件です。
オンプレミスのアプリからクラウドストレージを継続利用ハイブリッドストレージの要件です。
AWS の拠点にストレージを持ち込んで高速アップロードAWS Data Transfer Terminal物理的な持ち込み型の転送サービスです。
自社拠点に AWS インフラを常設してエッジ処理接続がある環境での常設エッジ基盤です。

よくある誤答パターンは次のとおりです。

  • 「大量データ」という言葉だけで Snow Family を選ぶことです。帯域が十分にあり期限に間に合うなら、DataSync などのオンライン転送が適切な場合があります。
  • 「オンプレミスとの接続」で Snow Family を選ぶことです。継続的な接続の要件は Direct Connect(回線)や Storage Gateway(ストレージ利用)であり、Snow は一度きりの移行や非接続環境向けです。
  • 逆に、「回線が細く数か月かかる」のに Direct Connect を新設する選択肢も、導入までの時間とコストの観点で誤りになりやすいです。
  • 旧教材の知識で Snowcone や Snowmobile を前提にすることです。現行ラインナップは Snowball Edge のみで、新規利用も終了している点に注意します(試験問題が考え方を問う場合は、判断軸で答えます)。

参考文献

  1. ※1出題比率: AWS 公式の試験ガイドに記載された、採点対象の設問のうちその分野が占める割合です。

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